2018年3月22日

ほどほどの暮らし

何年か前にTV放送で俵屋旅館の特集をしていた。
その時の感動が忘れられず、その後すぐにインターネットで俵屋さんのことをいろいろ調べた。
そのときにこの本を知った。
残念ながらそのときも売られているものは既になく、売っていたとしても2倍から3倍の値段に。
そこですぐさま京都市の図書館で蔵書を調べた。あった!! 早速インターネットで予約して借りた。

分厚く重い本をワクワクしながら開いたのを覚えている。
泊まってみたいなと思い宿泊料金も調べみた・・・・いつかはきっとと思った。
今回、工務店勉強会で取り上げられると聞いて再度図書館で・・・


何度この本を手によっても目とこころの深いところで惹きつけられる・・・。
佐藤年さんという女将の思いの全てがこめられている。
語られる文章にも共感することが多かった。


四季のある日本。
四季があるからこそ、この宿に泊まる人々にその時々の一瞬を最高に楽しんでいただくためのおもてなしがある
部屋からの景色や調度品など設えひとつひとつからもその気持ちが伝わってくる。
また、宿泊客に出される食事の食材や盛り付けにも心が配られている。そしてその場所を美しくここちよく過ごしていただくための行き届いた手入れと掃除。
「多くの人々に長く深く愛されて当然」そう思う。

本のなかに・・「ほどほど」と題したエッセーがある。
「夕暮れ時、低い日差しの陽光が少々もの憂げにたゆたっていたと思うのも束の間で・・・」という書き出しで始まる。「少しこじつけがましい話になるが、最近食するものが妙に美味で濃厚なものが多いと、食材そのものを含めて思うことが多い。果物や野菜等も、より濃密なものへと変身していく。勿論それはそれで結構楽しませて貰っているのだが・・・」~中略~「毎日飽きずに頂けるものは自然で淡白なものだと思う。食物に限らず何事も過ぎることは如何なものなのだろう。もてなしも家の造り様も過ぎれば暑苦しい。人への心遣いも見えてしまえば野暮だし、少し足りないと見えるものの方が、見え過ぎるよりは程よい具合でゆったりと心地良いように思える。秋の夜には灯りも明る過ぎるより、やわらかく包み込むような光が玄妙な趣を殊更にする。何事もほどほどが坐り心地がよい気がする。」

11代目当主女将の佐藤年さんの言葉です。
何という説得力のある粋な深みのある洞察だろう・・・。
「ほどほど」心に染み入りました・・・・。
住む人が、わが家に訪れる人へのおもてなしを喜べるような住まいづくりを続けていきたいものです。

hiroko.hiura

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