2013年7月16日

瓢亭に学ぶ


こんにちは。受付の石田です女性
左京区、南禅寺門前の老舗料亭「瓢亭」
このほど14代当主、高橋英一さんの「京料理」が
京都府指定の無形文化財に認定されました。
「和食」のユネスコ無形文化遺産登録が期待される中での
喜ばしいニュースでしたが、
地元で守るべき文化財をぜひ一度見ておかなければ!
と大先輩よりお誘いを受け、
この度、あこがれの瓢亭さんへ初めて行くことができました。

創業400年。
風になびく小旗や、土間の床几が
創業時の面影をしのばせています。


当主英一さんは、茶道に精通しておられる方で、
今回の京都府の無形文化財指定においても、
料理だけでなく、茶道の知識を背景としたしつらえの空間等も
対象に含まれているそうです。
初めて入る、垣根の内側。
玄関から食事の部屋へは
延段伝いに庭を進んでいく形ですが、
足を踏み入れると一瞬で侘びの世界。

まさに茶人好みの風情です。苔がきれい。
庭内の「涼」をひきたたせていたせせらぎ。

隣の無鄰庵からそそぎ込んでいる疏水だそうです。
広間も茶家らしいしつらえでした。
床には英一さん自らが育てておられるという茶花が。
(英一さんは茶花の先生としても有名)

今回びっくりしたのは一人用の掘りごたつです。
楽に足をおろしての懐石料理。
畳に違和感なく造り付けられていました。

伝統の中に現代風おもてなしの心。
もはや文化財となった瓢亭の料理。
簡素にして季節の移り変わりを感得するという
文化財に相応しい徹底したこだわりが感じられ
料理が進むにつれ、自分自身の感性も研ぎ澄まされて、
いかに日常を雑に過ごし自分の感性を鈍らせてしまっているか
身にしみて気付かされた時間でした。
お料理を少しご紹介。
向付

明石鯛のへぎ造り。
瓢亭さんで最初に出されるお造りは
季節を問わず、雑味のない明石の鯛一品と決まっているそうです。
鯛のうま味が最大限に引き出されていて
正直な話、これまでの人生で一番美味しい鯛でした。
煮物椀

京都の夏の代名詞、鱧。
和食の場合、煮物などはすぐ「だし」の味を
イメージしてしまうのですが、
瓢亭さんではあくまでも
旬の食材そのものの味を引き出すことに
徹底しておられるので、
だしに使うのは基本の「かつお節」ではなく「まぐろ節」。
酸味が強くやや自己主張のあるかつお節のだしに比べて、
まぐろ節のだしはもの足りないくらいまろやか。
でもだからこそ料理が進むにつれ、
旬の食材の味を味わおうとする、
忘れかけていた感性が呼びさまされました。
「だし」の味ではなく「素材」の味。
「調味料」の味ではなく「素材」の味。
食材への愛情がものすごく伝わってきました。
八寸

名物「瓢亭玉子」はここで登場。
焼物

こちらも夏の代名詞、鮎。
炊き合せ

賀茂茄子とえび、万願寺のたたき
あと感動したのは
料理の最後に御飯とともに出された
「赤だし」

すまし汁のように澄んでいました。
なんとだしに味噌をといてから
一度布でこしているのだそうです。
味噌のザラザラ感が一切なく、
さらに「まぐろ節」の控え目な赤味噌だしが、
具材の小茄子と湯葉という淡白な食材の味を
ひきたてていました。
そもそも四季の移ろいを五感で楽しむことが
日本人の繊細な感性を育んできたのに、
自分自身、その感性が鈍っていることに気付かされた
貴重な体験となりました。
最近、天然のだしより化学調味料の方が美味しいと
感じる子供が増えているということを耳にします。
「旬」を大事にしてきた和食が
今後「無形文化遺産」として世界に認められると、
日本人としてうかうかしていられないですね・・。
by yumiko