2018年1月19日

mother house モデルハウス 東舟岡町の家~暮らし設計(9)~

外観について

円熟夫婦のための住まいですので、落ち着いた外観になっています。
外壁はお寺の壁をイメージした横縞模様。
玄関の床タイルは石目の灰茶色。
畑を囲む木の塀は黒塗り仕上の黒灰色。
鮮やかな色は一切使っていません。
地味な感じにしたのは玄関横に植えられた花と南庭の畑の緑が彩りを添え、お互いに引き立て合うと思ったからです。
京都の住まいらしくなればという思いもあります。
木の塀の隙間から見えるのは、檜の濡れ縁と鞍馬石の靴脱ぎです。
ここに越し掛け、畑で育っていく野菜たちをぼーっと眺める。
そんな時間の使い方もそろそろいいんじゃないでしょうか。
夏には濡れ縁の外に吊るしたすだれが建物に影を付けます。
夜には障子を通して漏れる照明の光がほのかに畑を照らします。
その柔らかな明かりの中で南の空に浮かぶ満月をゆっくりと眺める。
そんな楽しみ方ができる住まいになりました。

2018年1月12日

mother house モデルハウス 東舟岡町の家~暮らし設計(8)~

フルオーダーキッチンについて

狭い意味でキッチンは料理をつくるところです。
料理をつくる上で一番大事なことは料理をつくりやすいことかどうかではないでしょうか。
料理をつくりやすいかどうかは、キッチンが料理をつくりやすい状態になっているかどうかで決まります。
具体的に言うと流れるように料理が作れること。
食材を取り出し、洗い、切り分け、調味料を加え、混ぜ合わせたり、加熱して皿に盛る。
おいしく食べた後は、洗い物をして皿や調理器具を元に戻しゴミを捨てる。
この一連の流れがよどみなく出来るキッチンがベストなキッチンではないでしょうか。
すなわち、余計な手間や動きが必要ないキッチンであること。
すぐに物が取れる。かがんだり背伸びしなくてよい。少ない歩数で作業ができる。共同作業がしやすい。掃除が楽、などなど。そんなキッチンならおいしい料理をつくれるし、おいしい料理をつくろうという気持ちにもなります。

より広くとらえるとキッチンは最も大事な交流の場です。
キッチンはダイニングと一体となって会話にあふれ、笑顔の花が咲くところです。みんなが一つになるところ。
住まいの中で一番大切なキッチンとダイニングを私たちは大事に大事に作り上げていきたいと思っています。
フルオーダーキッチンを組み込むだけでは、完成されたキッチンにはなりません。キッチンダイニング、そしてその隣のリビング、そのひとつひとつに命を吹き込むことで、住まいがなくてはならない家族のような存在になるのだと思います。

2018年1月10日

戌年に思う

あけましておめでとうございます。 日浦です。
今年も何卒よろしくお願いいたします。

年賀のご挨拶をスマートフォンで作成してみました。

実は昨年の年末にスマホの状態が悪くなりiphoneXに機種を変更しました。
こんなことも簡単にできちゃいます。写真は愛犬たちです。
写真の鮮明さには驚かされています。
あんまり技術がなくても遠近がくっきり分かる素晴らしい写真も撮れます。
普通に楽しむならカメラも必要性が薄くなってくるような気がします・・・。

様々なものが進化し私たちの置かれた環境も変わっていきます。
「温故知新」私の好きな言葉です。
前に学んだことや昔の事柄をもう一度調べたり考えたりして、新たな道理や知識を見い出し自分のものとすること。
新しくなっていくものを楽しみ取り入れながらも、古くから大切にしてきた日本そして京都の文化にもこころと目を向けながら、
今年もお仕事をさせていただきたいと思っています。

今年は、社長渾身の力を注いだモデルハウスが完成お披露目するのと、
昨年からお話を進めていた大型のリノベーション現場はじまります。
スタッフ一同力を合わせて今年もがんばっていきます。
何卒よろしくお願いいたします。

2018年1月9日

mother house モデルハウス 東舟岡町の家~暮らし設計(7)~

交通事故死より多い家庭内の事故死

日本で、交通事故で亡くなった人の数は、1995年には約1万5千人だったのが、年々減少し、2012年には、半分以下の約6千人となりました。それに対して、火災や転倒など家庭内での何らかの事故で亡くなった人は1995年には1万人強だったのが、2012年には約1万5千人に達しています。交通事故で亡くなる人の数より、家庭内の事故で亡くなる人の数の方がはるかに多くなっています。

最も死亡リスクの大きい季節は「冬」

「家のつくりやうは夏をむねとすべし」。「徒然草」でそう書き残した兼好法師の教えは今も通用するのでしょうか。
昨今、日本の夏は過酷で、夏になると「熱中症で搬送された」という報道が目立ちます。総務省消防庁の「平成29年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」によると、熱中症で救急搬送された人は全国で5万2984人で、救急搬送された人のうち熱中症が原因で亡くなった人は48人でした。
明治時代までは、新鮮な食材が調達しにくく、食が原因で命を落とす人が多いことから、1年のうちで最も死亡者数が多いのは夏でしたが、現在、最も死亡者数が多いのは冬。
平成28年では12月が最多、ついで1月で、最も少ない月は6月でした(厚生労働省人口動態統計より)。

さらに、住宅内での死亡者数を疾患別で見てみると、心疾患や脳血管疾患など循環器疾患で亡くなる方が、悪性新生物(ガン)よりも多いことが分かります。循環器疾患が発生する主な要因となるのは、高血圧。特に被害が集中しているのが65歳以上の高齢者です。
これからますます高齢化が進み、2025年には65歳以上の人口が総人口の3割以上となると言われます。
イギリスの住宅の健康・安全性評価システム(HHSRS)の報告では「室温が16℃以下では高齢者に関しては呼吸器疾患や血管疾患などの大きな健康リスクがあり、10℃以下では心臓発作、脳卒中などの心血管疾患による冬季の死亡率が50%上昇する。年齢別に室温と血圧の関係を調べたところ、高齢者ほど室温低下によって血圧上昇を起こしやすいことがわかってきた」としています。

住宅内の「温度差」こそ要注意

大きな「温度差」を急激な血圧変動をもたらし、血管へのダメージを大きくするのが「ヒートショック」です。
冬の寒い晩、暖かい寝具の中から起き出し、冷えた室内や廊下を歩き、トイレで用を足す間の温度差は、20℃近くになることがあります。トイレで立ちくらみを覚えたり、ひどい時には意識を失ってしまうこともあります。暖かいリビングから移動し、洗面室で洋服を脱ぎ、浴室に入って冷たいタイルに触れると、温度差は10℃以上になることもあります。その結果、ヒートショックなどにより意識を失い、溺死など風呂場で起きる事故が後を絶ちません。

平成29年1月に消費者庁が発表した「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故にご注意ください」によると、家庭の浴槽での溺死者数は11年間で約1.7倍になり、平成27年に4804人となりました。このうち約9割を65歳以上の高齢者が占めています。
これらは、救急車の到着時点で風呂場で亡くなった人の数字なので、風呂場で倒れて搬送された後に亡くなった人を含めるとさらに増えると思われます。死亡を免れたとしても、脳血管疾患等による後遺症で介護が必要となる場合もあります。
寒冷地では、寒冷地仕様の建築工法や建材で住宅が作られていますが、比較的温暖な地域の方が住宅の寒さ対策が遅れていることが多く、実は健康面でのリスクが高くなります。今は「冬の家のつくりよう」が問われているのです。

住宅の断熱性と気密性の向上が鍵

低温や温度差の観点から健康面へのリスクがある住宅は、断熱と気密に問題があります。
住まいの断熱性が低いと、寒い季節には結露が起きやすくなります。結露が原因で木が腐る、鉄がさびるなど家が傷み、弱くなりますし、カビが発生したりダニが増えたりして、アレルギー疾患を持つ人には酷な環境になります。
住まいの断熱化は重要なのですが、日本ではなかなか進んでいません。しかし、ここまで冬に健康を害するアクシデントが多いことを考えれば、寒さを解消し、健康的な住空間にすることは必ずすべきなのです。
住宅の断熱性を上げると、外気の影響を受けにくくなり、暖房している部屋としていない部屋の温度ムラが小さくなります。さらに、暖房をつけた後に早く暖房効果が現れるだけでなく、暖房を消した後の温度低下を小さくする効果もあるので、光熱費を節約できます。また、断熱施工と適切な換気システムを活用すると結露しにくく、カビやダニの発生も抑えることができます。
また、断熱性能と同じくらい住宅の気密性能は大切です。気密性能が高まると、すき間風が入りにくくなり、冬場足元が寒いなどの現象がなくなります。

住まいの温度の観点から住み替えを

まずは、住まい選びの時に、間取りやデザイン、収納だけでなく、冬の低温や温度差をどう防ぐ家かという観点を忘れてはいけません。QOL(生活の質)の向上のために、新築の際には断熱や気密のことを一度考えてみてください。
マザーハウスでは25年間ずっと高気密・高断熱住宅をつくり続けてきました。
最新の東舟岡町の家ももうすぐ完成。2月に完成見学会を開きます。

※参考文献「あたらしい家づくりの教科書」(新建新聞社)/「HEAT20設計ガイドブック」(建築技術)/すこやかに住まう すこやかに生きる(慶応義塾大学出版会)/岩前篤(近畿大学建築学部長 教授)住まいのガイドブックあんじゅ
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