弊社が所属する研究会からの報告です
住まいの健康度調査について
安全な住環境に関する研究会では、住宅屋内の寒さを健康問題の原因の一つとして検討している。
2008年秋、高断熱住宅が居住者の健康にもたらす影響について調査を行った。
高断熱の戸建住宅に転居した家庭を対象に、アンケートを実施。100件について回収し、結果の概要をまとめた。
これによれば、
・高断熱住宅に転居した人の多くが、寒さを感じなくなった。
・ただし、集合住宅から戸建住宅に移った人は全体的に暖かさ感が少ない。
・同じ家でも、居間のように暖房を普通に使う部屋では暖かさ感が大きいのに対し、寝室や脱衣所などの暖房をあまり使わない部屋では、暖かさ感が多少減る。
・健康への影響では、以前の家で悩まされていた症状の多くが、転居後、改善していること。
特に、様々な症状が実際に軽減されている割合は予想以上に大きく、住宅の高断熱化の必要性につながるものとして重要であるとともに、調査結果自体の再現性・精度をより吟味しなければならないことを示していた。
これを受け、平成20年12月から21年1月にかけて、第二次調査として、700件の住宅、2400人以上の居住者のデータが回収された。
居間→寝室→トイレ→脱衣所の順で「寒い」という回答の割合が増加する。
一般的な室温は、居間>寝室>トイレ・脱衣所、であり、脱衣所は裸になって直接寒さを感じる場所なので、この順は極めて妥当な結果になっていると考えられる。
暖かさについても同様である。
健康影響度について
健康を保つためには、生活習慣の改善、特に運動による効果が期待されているが、多忙な生活の中では実現はそうたやすいことではなく、その点でも、住宅などの生活環境の改善が重要といえる。
以前の住居で症状が出ていた人を母数に取り、その中で新しい住まいに移って以降、症状が出なくなった人の割合を以下にまとめる。
おおむね断熱グレードが上がると症状改善の割合が高くなる。
特に、気管支ぜんそく、かぶれについては、高断熱化の効果が期待できるといえる。
まとめ
第二次調査の結果は、第一次調査で得られた結果を概ね同様であった。
すなわち、高断熱住宅に変わることで、住まいの寒さ感が大幅に改善されること、健康障害の多くが現れなくなる傾向にある。
住まいの高断熱化が健康性にも大きな影響を与えることが、より一層明確になったと考えられる。