道を極める
大阪は道頓堀のにぎわいの中にある、
大阪松竹座。
毎年1月、歌舞伎界のスターが集まる初芝居、
「寿初春大歌舞伎」公演が大阪の正月をいろどる。(昨日が千秋楽)
京都南座の顔見世と並ぶ年中行事として
歌舞伎ファンに親しまれている恒例興行だ。
私も正月訪れた。
今年の公演は、
「坂田藤十郎」「市川團十郎」という、
東西の二枚看板が共演するということで
新聞でも紹介されていた。
(日経夕刊2012.1.10)
この演目、実は「市川海老蔵」」も共演しているので(写真右)、
”親子共演”という面でも話題を呼んだ。
海老蔵は一昨年、世間を騒がせたが、昨年より「本職」で精力的に頑張っている。
今回の公演でも、全演目に出演。
その貫禄や気品はやはり血筋なのだろう。
人を惹きつける魅力が存分にあった。
ところでこの演目は、
「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」という常磐津舞踊の大曲である。
役者は台詞を言わず、舞台そでにいる常磐津連中が
独特の節回しで役者の代わりに台詞を言う。
この常磐津節の大御所、常磐津一巴太夫(人間国宝)が、
実は私の父方の親戚になる。
前置きが長くなったが、実は今回の公演もそのご縁で
見させていただいた。
公演後は楽屋へ。
この演目は1回の公演でかなり体力を使うのだという。
通しで1時間半。それが約1ヶ月続く。
御歳、82歳。
役者さんを入れても最高齢だそうだ。
この年齢では奇跡と思えるほどの声の響きや節回しに感服する。
声が命の職業。
喉を守るために、タバコはもちろんアルコールも飲まず、
お茶やコーヒーなどカフェインが入った飲物も口にしない。
芸に厳しい姿勢は、話していても伝わってきて、
本物のプロを感じる。
私も自分の職業にそのくらいの厳しさがなければ、と
正月早々ひしひしと感じさせていただいた。