京都で家を建てる
この1冊を読み終えました。
縁側から庭へ フランスからの京都回顧録
エマニュエル・マレスというフランス人の書いた本です。
毎月大阪で行われる工務店勉強会の「らしさネクスト研究会」で紹介してもらった本でした。私はその研究会代表の佐藤善秀さんから紹介された本は必ずいち早く読むようにしています。研究会での佐藤さんのお話は深くまた考えさせられることが多いのです。
この本も早速アマゾンで取り寄せ読み始めました。
内容が「京都」に因んでいたこともあり一気に読み上げました。
エマニュエル・マレスという人の感性と素晴らしい描写力そして洞察力
そして何よりその文章の美しさに引き込まれ夢中になって読みました。
既に訪れたことのある京都のお寺巡りをこのマレスさんの視点からまた訪れてみたいと思いました。
また、お施主様の家を左京区幡枝で建てた時のコトを思い出しました。
円通寺の東側方面に位置する土地だったその場所のお施主様からの強いご要望は「比叡山を見て暮らしたい・・」だったのです。
「周りに家が建っても比叡山を見て暮らしたい・・・」
そこはもちろん高い建物は建てられないし建築する上での取り決めも厳しい風致地区
そこで考えたのが吹き抜け越しから見える2階のFIX窓からの比叡山でした。
先日お邪魔した時ご近所にはたくさんの家が建ち様子も一変していました。
しかし薄雪をのせた比叡山が一枚の絵のようにその窓に切り取られておりお施主様は満足そうでした。
私がプレゼンをする時のお決まり台詞「ここでどこを見て暮らすのかをご一緒に考えましょう!」はほんと大切なのです。
京都の条例については、なんとも煩わしい・・好きなことができない・・自分の家なのに何故?という建てる側のお施主様の立場から言えば言いたくなるのもごもっともです。
しかし今回私はこの本を読んで家の外の景色も内側という思いが深くなりました。
私自身提案者としてお施主様が毎日見て暮らす外の景色を「京都」という全体から大きなひとつとして捉えたりまた我が家の縁側の景色のひとつとして考えたときにその煩わしい・・と思ってしまいがちな条例も私の中では少し愛おしく感じられたようになったようです。我が家が他人の家のそして京都の景色になるのです。
少し前に北欧に出かけた時デンマークの街並みを見て思いました。
そこには外壁も屋根もデザインや色など均一化された家が立ち並んでいました。ほとんど同じ家の外観・・
でもその一つ一つが並んでいるからこそリズミカルで美しい景色になっている・・
京都も間口は狭く見えるのは外観の一面のみという家が少なくない。
その変えようのない条件をいかに京都という全体との調和を取りながらお施主様の最大限満足できるものにしていけるかどうかということについては提案者としてもっともっと京都らしさということを勉強し真摯に仕事と向き合っていきたいと思いました。
いい本に出会えました事に感謝したい気持ちでいっぱいです。
何年か前に訪れたこの本に出ていた円通寺や東山の無鄰菴の庭をまた訪れてみたいという衝動にすごく駆られています。「よし行ってみようこの本と携えもう一度あの場所に・・・」
hiroko.hiura