2011年3月8日
建築家の仕事
日本経済新聞に「私の履歴書」という、
各界の著名人がリレー式でそれぞれの「自分史」を紹介する
連載欄がある。一人の「自分史」が1ヶ月ほど連載されるから
毎回、生い立ちからのかなり詳しい内容になる。
一流の人が、どのようにして一流になっていったのか、
その過去はたいてい意外性に富んでいて
いつもとても興味深く読ませてもらっている。
その「私の履歴書」で、
3月から建築家の安藤忠雄氏の連載がスタートしている。
連載第一回目の冒頭で、「建築家の仕事」のことを、
「常に『現実』と渡り合う、一に調整、二にも三にも調整という、
地味で過酷な仕事」と述べておられた。
確かにそうだと思う。
たいていの人は「建築家の仕事」として完成した建物しか見ていない。
だが、そこに行き着くまでには数々の「調整」が必要となる。
最初にぶつかるのが予算。そして工事費をめぐって業者とのぎりぎりの折衝。
お施主様の夢と現実の折り合いを最善の状態で完成させなければならない。
だが、安藤氏はこうも述べている。
「それでも、人の命を安全に守り、安心して過ごせるようにするのが
この仕事の意義であり、そこに自分の誇りがある。」と。
私も全く同感だ。
デザインだけが評価されるのではない。安心、安全を提供する責任があるのである。
また、周辺の環境に与える影響も大きい。
私も建築の仕事には誇りをもっている。
ところで、連載5日目に、安藤氏自身が元プロボクサーだった時のことを
紹介しておられた。
最近封切りの話題の映画「あしたのジョー」も早速、見に行かれたようだ。
この欄を読んでいつも思うのだが、
一流の人は、やはりその歩んでこられた人生も波乱万丈でおもしろい。