2017年7月13日

木の吸湿作用

よく「木は呼吸する」と言われる。
これは、木の表面が湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用のことだ。
例えば、厚さ4ミリの1㎡のヒノキ板が含むことができる水蒸気の量は、
8畳間程度の部屋が25℃の時に含む量と同等なのだそうだ。

◆木が湿気を吸うのは厚さ何ミリまでか◆
では、木の調湿作用が働くためには
どのくらいの厚みが必要なのか。
木がどの深さまで吸放湿しているかを調べた実験がある。
それによると、
一日の湿度変動で水分が出入りするのは、
表面から3ミリ程度の深さまでということが分かったそうだ。

少し細かくなるが、
この実験では、24時間周期で温度と湿度が変化する箱の中に
側面をアルミホイルで覆った木片を入れて行っている。
木片を一定時間ごとに取り出してスライスし、
厚さ方向の含水率分布を測定した結果、
含水率が変化するのは表面付近だけで、
中心に近いところではほとんど変化はなかったそうだ。
このデータを用いて、
いろんな周期で含水率が変化する深さを推定したところ
周期と有効な厚さは以下のようになったという。

<温湿度変化の周期と有効な厚さ>
1日・・・3ミリ
3日・・・5.2ミリ
10日・・・9.5ミリ
1ヵ月・・・16.4ミリ
1年・・・57.3ミリ

◆木の調湿効果を生かすには◆
この結果から、木の調湿作用を十分引き出すのに必要な
木の厚さが分かる。
一般的な単層フローリングは15ミリであるから、
1ヵ月周期の調湿に有効だと言える。
また、一年周期の場合は57.3ミリであるから、
12㎝角の柱がちょうど作用しているわけだ。

ただ、このような調湿効果を生かすには、
表面の仕上げに注意が必要である。
湿気を通しにくい塗装をしたり、
フィルムで覆ってしまったりしては効果がない。
浸透性の塗料がおすすめである。

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