2012年5月29日

ギャラリー

先日、イラストレーターであり絵本作家でもある親友が京都で開催した
個展に行ってきた。

彼の絵本『My Red Balloon』は昨年ドイツでルークス賞を受賞し、
今回はその原画展である。

この絵本は、ドイツDeutschlandfunks und Focus で
「青少年のための読書ベスト7冊」にも選ばれたのだそうだ。
原画はやはり大量生産される印刷物とは全く違う。
絵画の質感、色の出かたや奥行きは実際に目にしなければ伝わらないということを実感する。
彼のイラストレーターとしての才能を改めて感じた。
実際に目に触れることで、それまで気付かなかった領域に
感性をゆさぶられることは、それ自体が貴重な出会いだ。
実はもう一つ、彼の作品とともに貴重な出会いだったのが
彼が個展会場にしたギャラリーだ。
京都市左京区にある『恵文社一乗寺店』の一室にある。
一見、アンティークショップのようにみえる外観と『けいぶん社』の看板。

実際入口付近では雑貨も並べられているのだが、
実は知る人ぞ知る「本屋」だ。
英国紙ガーディアンの「世界の本屋さんベスト10」特集でも
紹介されたのだそうだ。
店内は木の温もりが感じられるレトロな雰囲気で
照明も一般の書店に見られる煌々とした蛍光灯は使用せず、
温かみのある白熱灯タイプのライトが使われている。

また、品揃えも面白い。
ここには、新書やノウハウ本が見当たらない。
実用情報優先の本やネット検索で済む内容の本は置かないという
オーナーの主義らしい。
だが、どこを見ても感性をゆさぶられるような質の良い本が目につくのだ。
本自体が作品として静かに出会いを待っているようにも感じる。
流行りものや大量販売、という考え方には決してなびかず、
質の良いものや、本当に人に薦めたいものに徹底してこだわる。
これは非常に共感できる部分だ。
実際、『恵文社一乗寺店』は、京都市中心部より離れ
決して便利な立地ではないが、日本全国から幅広い年代層の方が
頻繁に訪れるのだそうだ。
ある種芸術的な配列の本や雑貨の棚をぬけると、
その奥にギャラリーがある。

あちらこちらで個性が光る空間というべきか。
ギャラリーでは彼のイラストが心和ませてくれた。

この絵本には、彼の優しさと繊細さがすべて表現されていると思う。
良いものとの出会いは感性を豊かにしてくれる。
目先の情報に流されず、良いものにこだわって
私も仕事をしていきたい。