2012年7月18日

三島由紀夫と若者たち


今年のカンヌ映画祭で高い評価を得た若松孝二監督の映画、
『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』。
京都でも上映していることを知り、
先日見に行ってきた。
三島由紀夫といえば正直なところ、
代表作『金閣寺』を生みだした作家であるということと、
自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した人ということくらいしか印象になかった。
彼がかなりの知識人で思想家であったことは察しがつくのだが、
その当時の時代背景や割腹事件の真相を
真正面から理解しようとすることはこれまでなかった。
そんな私に対して
この映画はとても丁寧に説明をしてくれ、
また同時に深く考えさせられた。
この映画で、
三島由紀夫と、彼と近しい若者たちの、
国を想う純粋な気持ちが鮮明に、
そして緊張感をもって描き出されている。
自らが信じるものへと進む当時の若者たちに
邪念や私欲は感じられない。
そしてこの国のために起こした自己犠牲という悲しい結末にたどりつく。
少し前にNHKで司馬遼太郎原作『坂の上の雲』が放映されたが、
その時代背景の丁寧な描写と激動の時代の若者たちの生きざまにも感動したが、
今回の映画でも、時代は異なるが
改めて先人の苦悩や潔い生きざまの上に、
今日の日本が成り立っていることをしみじみと思う。
当時の三島由紀夫と若者たちが
現代の我々に提示していることは何なのか。何を感じ取るべきなのか。
今年76歳になられるという若松孝二監督が
我々に投げかけている問いであるような気がした。
今回の映画で三島由紀夫を演じたのは
今年のNHK大河ドラマ「平清盛」で
悲劇の天皇、崇徳天皇(上皇)を好演していた
井浦新氏だ。
彼は彼独自の三島由紀夫の世界観を表現していたと思う。
久しぶりにしっかりとした作品を見ることができた。