2012年12月25日

吉例 顔見世興行


大入りを願い、勘亭流で隙間なく役者の名前が書かれた「まねき」が
上がる南座正面。京の年の瀬の風物詩だ。
東西の名優が一堂に会する顔見世。
今年は六代目中村勘九郎さんの襲名披露も併せての公演で、
京都で「中村勘九郎」のまねきが上がったのは12年ぶりだそうだ。

実は、親戚の常盤津一巴太夫さんも今年7年ぶりに
この顔見世に出演されるということで
先日観に行かせていただいた。
(「中村勘九郎」の右隣が「常盤津連中」のまねき)
周知の通り今月、勘三郎さんの突然の訃報により
悲しみの口上となった勘九郎さんだが、
父上から受け継ぎ、期待を一身に背負って中村屋で
磨かれた芸は確かなもので、心打たれた。
顔見世は明日が千秋楽。最後まで立派に勤め、
翌27日、故勘三郎氏の告別式で喪主を務めるそうだ。
さて、常盤津一巴太夫さんが浄瑠璃で出演したのは
上方和事の代表作、『廓文章』

上方トップスター坂田藤十郎さんと、
夕霧太夫役の中村扇雀さんの艶やかな芸に
風情ある浄瑠璃語りが舞台をより華やかにしていた。
藤十郎さんの御歳82とは思えない身のこなしには驚かされた。
その藤十郎さんと一歳違い、
御歳83になられた一巴太夫さん(人間国宝)。
今回最高齢。

(当日、楽屋にて)
高齢でありながら長期公演をこなしておられる姿に
頭が下がる。
来月も公演を控えておられるという。
今回、東のトップスター市川団十郎さんが
体調不良のため途中から休演、代役を立てられていた。
一か月続く長期公演、
それぞれの事情、体調、いろんなことを乗り越えて
役者さんが一生懸命演じておられるということを、
今回しみじみと感じた。
伝統芸能が脈々と守られているのは、
守っている方たちの見えざる日々の精進と努力の積み重ねがあってこそ。
これからも見守っていきたい。

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