京都 北山杉
前回「木曽ヒノキ」について紹介させていただいたが、
地元、京都が誇る「北山杉」についても少し紹介したい。
「北山杉」はその名の通り
京都北山地域特産の銘木で、
茶室をはじめ数寄屋文化に欠かせない素材である。
また、天に向かってまっすぐ伸びる姿は
「伸びゆく京都」のシンボルとして
「京都府の木」にも制定されている。
北山の斜面に凛として立ち並ぶ北山杉。
苗木から30〜50年かけて丁寧に手入れされている人工林だ。
(数年ごとに枝打ちや間伐等が施されているという)
北山杉はその先端のみに葉を残す。
これが
「通直・完満・無節で目が細かく光沢が美しい」と称賛される
「北山丸太」になる。
自宅の和室(床柱)にも北山丸太を使っている。
この「北山丸太」作りには
世界で唯一京都北山にしかない
伝統技法「本仕込み」があるのだという。
「本仕込み」では真夏の炎天下で
熟練の職人が北山杉の皮剥ぎを行い自然乾燥させる。
先日その「本仕込み」を見学させていただく機会があった。
北山杉が林立する山へ入らせてもらう。
作業現場へ到着。
北山杉の上部をロープで固定した後、
根元をチェーンソーで切りながらたぐりよせ
木を立てたままでまとめていく。
そしてロープと木片で仮の足場をつくり
上へ昇りながらヘラで皮を剥いでいく。
これが「立て剥ぎ」といわれる作業だそうだ。
皮を剥いで現れる木肌は滑らかで美しい。
この皮剥ぎを私も少し体験させてもらったのだが、
皮の下は想像以上にべったりぬれていた。
この樹液が木表面のコーティングの役目をはたし
光沢を生みだす。
「立て剥ぎ」が終わった北山杉は
太陽と自然の風でじっくり乾燥させる「立て干し」を行う。
根と幹はすでに断ち切ってあり
幹の内部に残された水分は
上部に残された枝が吸い上げる。
このまま五日ほど放置して乾燥させるのだそうだ。
これらの作業は伐採と製造を兼ねた高度な熟練の技であり、
天候に左右されやすいことや危険なことなどから
一時継承が危ぶまれたのだという。
この日、伝統技法「本仕込み」をNHKが取材していた。
「北山丸太」は乾燥させた後に
木肌を磨きあげていく。
今回伝統的な北山丸太の「砂磨き」も体験させてもらった。
自然を活かしながら創意工夫してきた先人たちの技を
守り続けている人たちの活動に触れ、
地元の林業についても深く考えさせられた。