2013年4月8日

京都の桜


日曜日、弊社お施主様(T様)が主催している「自然観察会」に参加するため
京都府立植物園を訪れた。
先週末の強い風雨で園内の桜が心配だったが
咲き誇る花々は健在。見事だった。

「桜前線」という日本独特の言葉が示す通り、
日本人なら誰もがその開花を楽しみにする国花、桜。
今年、京都の桜の開花は昨年より12日も早かったそうだ。
観察会を主催するT様の説明のもと
様々な色、形の桜をじっくりと鑑賞させてもらったのだが
とにかく園内の桜は実に種類が豊富である。
狭い範囲でこれだけの種類が鑑賞できるのは植物園ならではだろう。
京都には数々の桜の名所があるが、案外穴場かもしれない。
「植物園のこの時期を逃すともったいない」と、T様はおっしゃっていた。
雨上がりの桜もまた、艶やかで美しかった。
清楚な八重桜 「佐野桜」

黄緑色の桜 「御衣黄(ぎょいこう)」

葉が桜餅に使われるという「大島桜」

色形が異なる様々な桜が並ぶ

古木に根をはり、新たに花を咲かせている健気な桜もあった。

竹筒を使い、新しい根を土に誘導している。
植物園の方たちの愛情を感じる一本だ。
そして桜に集まるのは人だけではないようだ。

木々を見上げるたびにいろんな種類の鳥を目にした。
春の花は色鮮やかで明るい気持ちにさせられる。

植物園の春はまだまだ続きそうだ。

2013年3月26日

熊野古道 -伊勢路・馬越峠-


古くから大勢の参詣者が歩いている「祈り」の道、熊野古道。
世界遺産だ。
以前から一度は歩いてみたかったのだが、
先日の日曜日、熊野古道の中でも最も美しいといわれる
伊勢路の馬越峠を念願叶って歩くことができた。
三重県紀北町から隣の尾鷲市へとぬける山道だ。

このコースは「石畳」の美しさで知られている。

この日も大勢の人が休日のハイキングを楽しんでいた。

現在は登山用の装備が充実しているため快適に歩けるが、
昔の人たちの峠越えは大変だっただろう。
尾鷲市は日本有数のヒノキの産地。
ここ熊野古道の「尾鷲ヒノキ」の美林は圧巻だ。

花粉症の人には酷な風景なのかもしれないが、
すれ違うハイカーたちは誰もマスクはつけていない。
空気は澄んでとてもきれいだった。
林にはヒノキだけでなく、スギの巨木もところどころで見られ
悠久の時を感じながら歩いた。

また、古道の美しさを際立たせているものに、
沿道の「シダ」がある。

青々と原生のままに茂っているようだった。

ところで、山道ではヒノキの「間伐材」が伐採後そのまま
放置されている光景をあちらこちらで目にした。

間伐材が利用されることが時と共に少なくなり、
山から下ろす手間に対価が合わないため捨てられている。
日本の林業の厳しさを感じる。
登り切った馬越峠では、
尾鷲市を眼下に桜がほころびはじめていた。

コースの最後に麓で立ち寄った尾鷲神社。
ご神木の「夫婦楠」は樹齢1000年を越える。

日本有数の豪雨地帯としても知られる尾鷲だが、
幸い天気にも恵まれ、
ヒノキやスギなど、住宅の建材としても馴染み深い
木々の神聖さに存分に浸り、
パワーチャージできたような気がする。

2013年3月20日

プリツカー賞


(伊藤豊雄建築ミュージアムwebサイトより)
先日、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」に
伊藤豊雄氏が選ばれたというニュースが流れた。
最近の日本人の受賞は1995年に安藤忠雄氏、
3年前に日本人チームとしてSANAA(妹島和世、西沢立衛)が受賞している。
伊藤氏がつくる建築は美しい。
多摩大学図書館(東京)

TOD’S表参道ビル(東京)

仙台メディアテーク(宮城)

建築基準を満たしながら
高いデザイン性を表現するのは大変難しいことだと思う。
一般の住宅向きではないが、
彼の被災地での復興支援活動を見ていると、
必ずしもデザインだけを追求しているのではなく、
もっと大きい意味での建築の可能性を探っていることがよくわかる。
昨年の第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展でも
彼がコミッショナーを務めた日本館が「金獅子賞」を受賞した。
現在東京の「ギャラリー・間」で凱旋の帰国展を開催している。

(ギャラリー・間webサイトより)
伊藤豊雄氏は昨年末、
東日本大震災の被災者が自由に交流できる憩いの場として
「みんなの家」を完成させた。
地域の交流が復興につながるとの熱き想いで力を注ぐ。
日本館で展示された陸前高田の「みんなの家」模型

建築家の仕事と工務店の仕事はスタンスが違うのかもしれないが
建築というものを通して社会に貢献する立場は同じであると思いたい。

2013年3月5日

始まりの日


一軒の住宅を建てるために、とても多くの人が関わっている。
どんなに住宅がハイテクになったとしても、
現場は常に一つ一つが様々な職人の手作業で進んでいく。
そのため現場監督は最後まで気がぬけない。
この度、上京区のK邸新築工事が完成、
お引き渡しの日を迎え
現場監督が見つめてきた日々の記録をお施主様や工事関係者に
スライドショーで見ていただいた。

スライドは、更地から始まり完成したお住まいの外観で終わる。
家づくりには、お施主様含め関係者すべてに
それぞれのドラマがある。
この先の物語をつくるのは、お施主様、そしてお子様達だ。
今日から住まいに命が吹き込まれる。
末永くどうぞお幸せに。

2013年2月24日

美味探究 part19 -牡蠣づくし 編-


寒い日は、あつあつの鍋料理で体をあたため、
また具材もなるべく栄養のあるもので体力をつけ乗りきりたい。
冬の味覚、牡蠣の旬もそろそろ終盤だが、
質のいい真牡蠣を少し多めに仕入れたので
定番の土手鍋を含め、5品を作った。
良い食材は少しずつでも違う味わいで楽しみたい。
牡蠣の下ごしらえで必ず使うのが
「大根おろし」だ。
これで牡蠣を洗うとぬめりや臭みがとれ、
牡蠣の身もぷっくりとする。

さて下準備一品目は「牡蠣ごはん」用。

生姜と調味料を入れた煮汁で牡蠣に火を通しておく。
基本の昆布だしも隣でスタンバイ。

煮汁とこの昆布だしでごはんを炊く。これで一品目の準備完了だ。

牡蠣はごはんが炊きあがってから軽く混ぜ合わせればよい。
二品目は「牡蠣のオイスター炒め」
「牡蠣には牡蠣を」のパターン。

三品目はシンプルな「酒蒸し」

味付けは塩と、香りの柚子のみ。
こってりした味付けとあっさりした味付け
二種類を楽しむ。

四品目は「牡蠣フライ」
これも肉厚の牡蠣を仕入れた時にははずせない一品だ。


牡蠣フライ、牡蠣ごはん、土手鍋、とあつあつを食べられるように、
すべて出来上がり時間が同じになるようにする。

今シーズンは牡蠣もこれで食べおさめだろうか。
別れを惜しむような牡蠣づくしの食卓だった。

2013年2月15日

空間をつくる -空気環境 編-


この時期はほとんどのご家庭が
窓を閉めて暖房をしておられることだと思う。
最近の住宅は気密性が高いため、
換気をしなければすぐに二酸化炭素や湿気が充満し、空気がよどむ。
これを放っておくと、
住宅のあちこちで結露やカビが発生し、
じわじわと住まいや住む人の健康被害をまねくことになってしまう。

換気の必要性はよく知られていることだが、
目にみえない空気環境への対策は後手後手になることが多く
何の手もうっていないお宅がまだ意外と多いことを実感している。
さらに、最近は中国の大気汚染問題にみるように
外部から取り入れる空気がきれいで安全だとは限らない。
日本でも市街地では依然、排ガスや粉じんが飛散しているし
これからの季節は「花粉」という自然の産物とも
対峙しなければならない。
室内の空気をきれいに保つためには
換気における工夫が必要になる。
弊社が取り付けているフィルター付空気取入れ孔。
壁についている円形のものである。(住宅に5ヶ所程設置)

すき間のない家づくりをしているので
対角線上に設置している強制排気の換気扇と連動し、
ここからは常に新鮮な空気が室内に入ってくる。
フィルターにより花粉や有害物質はシャットアウトされる。
またこちらが排気の換気扇。

(住宅に5ヶ所程度設置)
健康な空気環境についてもう一点。
弊社は室内材料に自然素材を多く使っている。
無垢の杉板貼りの床や天井、ホタテ貝殻を使った塗壁などで、
室内の湿気を調整し、空気を浄化させる。

弊社の住宅を見ていただくと、
空気のきれいさを実感していただけると思う。
弊社が考える健康住宅のご紹介
■新築完成見学会 2/16(土)・17(日)
■住まい講座『環境に優しい家づくり』 2/23(土)
ご来場、ご参加をお待ちしております。

2013年2月11日

空間をつくる -音環境 編-


私は音楽を聴くことが好きなのだが、
弊社のお施主様の中にも、音楽を本格的に聴いたり
また楽器を演奏される方が多い。
特に室内で楽器を演奏、練習する際に気にされるのは
近隣への音漏れだ。
最近はハコものの防音室もあるが、
施工の工夫で外部への音を遮ることができる。
これまでにもいくつか施工させていただいた。
遮音材、吸音材を使い、壁、床、天井を囲む

遮音材で音を遮り、吸音材で音の響きを調整する。
また、コンクリートで囲まれた地下室をつくることも有効だ。

もちろんこれらの防音効果は、
我々が心がけている
隙間をつくらない気密性の高い施工であることが必要条件となる。
音楽を本格的に楽しむには
環境づくりが必要になる。
音楽を愛する一人として、
これからもその手助けができればと思う。

2013年2月5日

My music collection no.5


前回、『フィンランドのくらしとデザイン』展を紹介させていただいた。
日本でも人気の高い北欧の国フィンランドだが、
その歴史は意外に苦難に満ちている。
隣国スウェーデンに支配され、19世紀からはロシアの自治侵害に遭う。
フィンランドが独立を勝ち取ったのは1917年で、100年にも満たない。
今回紹介するコレクションは
シベリウス作曲、交響詩『フィンランディア』 (カラヤン指揮 /ベルリンフィル)
愛国運動が高まっていた1900年に作られたこの曲は
独立運動のシンボルとなった作品であり、第二国歌として深く親しまれ、
シベリウスはフィンランドの国民的英雄となっている。
この曲は、悲劇的な冒頭に始まり激しい闘争を経て
平和を歌う賛歌へと至るドラマティックな構成になっている。
大自然の力を曲に込めるシベリウスだが、
この曲からは厳しい冬とその時代を乗り越えていく
フィンランドの人々の力強さとたくましさが感じとれる。

2013年1月27日

フィンランドのくらしとデザイン展


現在、兵庫県立美術館で開催中の
『フィンランドのくらしとデザイン』展に行ってきた。
「ユニバーサルデザイン」や「エコロジー」などの命題が
一般的にも論じられるようになる以前から、
フィンランドでは「自然・人間・社会に寄り添うデザイン」が大切にされ
生活の中に根をおろしてきたという。
現在フィンランドのモダンデザインは独自の位置を確立し、
国際的にも高い評価を得てその後の世界のデザインシーンに
大きな影響を及ぼしている。
日本でも家具など人気が高い。
今回の展覧会は、19世紀末から現代までの
フィンランドの美術、建築、デザインと紹介するもので
歴史的な勉強にもなった。
地球規模の「よいデザイン」「豊かなくらし」についても
じっくり考えさせられた。
またフィンランドといえば「ムーミン」。
今回の展覧会のために特別に製作されたという
「森の家」


ほほえましいコーナーだった。
ところで、会場である兵庫県立美術館も
いってみれば見ごたえのある一つの「作品」だ。
設計は安藤忠雄氏。

愛称「芸術の館」。
前面の海に接するなぎさ公園と一体化して設計されている。

一見、単純明快な構成でありながら、
足を踏み入れると、その複雑多様な空間に驚かされる。


また建築内部に降り注ぐ光の表情や、
陰影に富んだ演出はさすがだ。


目の前に広がる海と、
巨大迷路のような建物が一つの世界をつくりだしていた。

2013年1月19日

「精進料理」の心


健康志向の人が増え、
スローフードやエコライフへの関心が高まっている中
ヘルシーなイメージが強い「精進料理」の作り方を習いたいと
考える人が特に中高年世代を中心に増えているそうだ。
精進料理はもともと禅寺の修行僧が食す簡素な食事のことだが、
この精進料理の作り方を実際に禅寺のお和尚さんが
教えてくださる料理教室がある。
京都市右京区の妙心寺内にある
東林院

教えてくださるのは住職の西川玄房氏。
長年、禅寺の料理係を務め、精進料理の本も出版されている。
実は先日、私もここの料理教室に参加させていただいた。
西川玄房和尚にはまず「精進料理」の意味から教わった。
精進料理とは、
単に肉や魚を避けるだけではなく、口にするものを生かす心で
旬のもの、素朴な材料を無駄のないように
最大限に利用するもので、
自然の恵み、大地の恵み、物のありがたさに感謝する
禅の心に通じるものだという。
現代の人々が精進料理に惹きつけられるのは
単に体に良いというだけでなく、
この「食べる禅」ともいえる精神性にもあるのだろう。
さて、私が教えていただいた献立はこちら。

実はこの献立のメインは、ごま豆腐(お膳中央)だ。
ごまを30分もすりつぶして作った一品。
すり鉢で心をこめてひたすらすり続ける作業。
禅寺では最高のもてなし料理なのだそうだ。
試食は庭の見える書院で。


禅寺らしい落ち着いた雰囲気もいい。

庭にはこんなものも。

だいこんや青菜
境内の畑で京野菜を育てているのだそうだ。
「自然の恵みに感謝し、思いやりを込めて料理をしてほしい。」
西川玄房和尚の声が聞こえてくる。

Webからお問い合わせ 0120-296-481