2012年9月12日

左官職人


先日新聞のコラムに
左官職人、挟土秀平(はさど しゅうへい)氏が取り上げられていた。
土壁を専門とし、塗壁の個展を開いたり詩集を出したりと
左官界に新風を吹き込んでいる異色の職人だ。
彼の本を読んだ人も多いだろう。
私と同じ世代。
83年技能五輪全国大会で優勝。
技へのこだわりもさることながら、
芸術性も追究し、その職人魂は見事だと思う。
記事では、現在の日本の「使い捨て」時代への
反抗と危機感が述べられていた。
話は変わるが、
我が社「石田工務店」も
私の祖父が戦前におこした左官業がはじまりだ。
当時は塗壁の需要が多く、
職人が技を競い合っていたという話を聞く。
時は移り、工期がかかる塗壁は次第に減っていった。
当然職人も減っていく。
挟土氏は述べている。
「経済性ばかりに目を向け、職人を見捨てると
やがて本物が廃れていく。
せめて本物の技を見る目は養わなければならない。」
父の代で工務店となって、現在、
多くの職人さんの協力で住宅がつくりあげられている。
その技に敬意を払い、
同時に自分自身も厳しい目を持ち続け、
一丸となってものづくりを極めていきたいと思う。

2012年9月5日

My music collection no.1


猛暑が続いたこの夏、
京都は昼も夜も暑かった。
だが、その暑い夏も過ぎ行く頃になると
淋しく想うのはなんとも不思議なものだ。
私は音楽を聴くことが好きなのだが
ジャンルは問わない。
主に聴くのはクラシックだが、
夏に似合う音楽といえば「レゲエ」かもしれない。
今夏よく聴いたのが
ボブ・マーリィーの『レジェンド』だ。
エリック・クラプトンが歌ったことでも有名な
「アイ ショット ザ シュリフ ( I SHOT THE SHERIFF )」
ボーカルフレーズが心地よい。
マーリィーを聴いて過ぎ去る夏に想いを馳せるのもなかなかいい。
数々あるいろんなジャンルの名曲。
その中から私がよく聴いている作品を
今後も時々紹介させていただこうと思う。

2012年8月29日

京町家


「京都らしさ」を満喫できる京町家が依然人気だ。
現在京都市内には4万戸以上の町家があるそうだが、
京都市も耐震改修の助成等で町家の商品価値を高め、
流通促進を支援している。
最近は町家を店舗として利用する例も多く見られる。
だが、伝統的な京町家はもともと職住一体型の住居で
商人の暮らしと知恵から生まれたものだ。
そこでの暮らしがあって初めて伝統的な町家の良さが伝わる。
先日、市内下京区にある
伝統的な京町家「秦家住宅」におじゃました。

築後140余年を経過し、
京都市登録有形文化財となっている。

夏の祇園祭の山鉾で「太子山」を担ぐ、その名も太子山町に位置し、
元禄時代から続く薬屋だそうで、「太子竒應丸」の看板が今も残る。

驚くべきことに、今もなお、
秦家の方々がこの町家で昔ながらの暮らしを営んでおられる。
住人が入れ替わらずに、初代からずっと受け継がれ守り続けられている町家は
意外と少ないそうだ。
夏のしつらえが見た目に涼しく、
また実際京都の真ん中に位置しながら
風が良く通り心地よい。


今回、職業柄よく持ち歩くサーモセンサーで
室内と中庭の表面温度を計らせていただいた。
室内(客間)床33度。ちなみに外気温は35度。

中庭29度。

中庭や土間が暑くならないことで風が心地良く感じる。
住人の秦めぐみさんは、京町家での暮らしについて、
やはり夏は2階が非常に暑いことや、
冬の底冷えの大変さを述べておられた。
だが、天気や時間帯によって変わる風向きを感じたり
季節によって変わる陽射の色、肌に感じる建具の感触など、
その暮らしぶりは感性豊かだ。
またそこで育まれた人間的な品性も伝わってきて感心した。
もちろん、秦家住宅のように敷地の広い京町家はある種特別だ。
現在の住宅市場で一般的とはいえない。
私が提案したいのは、
形だけを取り入れて安易に「京都らしさ」を獲得するのではなく、
感性は豊かに、現代の生活にあわせた健康を育む住まいづくりだ。
「京都を楽しむ住まいづくり」
これからも追究していきたい。

2012年8月26日

浄瑠璃寺


夏休み中、京都市内の寺社仏閣は観光客でにぎわう。
だが、少し足をのばし京都市郊外へ行くと
価値ある名所でも閑散としてゆっくり見学できる。
休み中、市内から抜け木津川市の加茂町、
浄瑠璃寺に行ってきた。
九体阿弥陀如来像(国宝)で有名な真言律宗の寺だ。

(この写真は「拝観のしおり」より抜粋)
のどかな風景がひろがる場所にあり、
寺も、秋の草花「萩」が似合うわびたたたずまいだ。

文字通り、都会の喧騒を忘れる空間だった。
「浄瑠璃」世界とは、
澄みきった清寂と清浄の理想の世界。
中に入ると池がひろがり、
その向こうに三重塔(国宝)が見える。

今夏立て続けにおきた集中豪雨のためか
土のうが積んであるのが少々痛々しい。
池をはさんで対面に鎮座する九体阿弥陀堂(御堂も国宝)

拝観者はほとんどおらず、ほぼ貸切状態。
九体の阿弥陀如来ともじっくり対面できた。
こののどかさがいい。

御堂を出ると
緑に浮き出た朱色の塔が陽の光に輝いており、

旅先に持ち歩いているスケッチブックに
思わず描きとめた。

今年の夏の思い出がまた一つ増えた。

2012年8月19日

美味探究 part17 -涼感 編-


今年の夏たくさんいただいた
徳島のすだち。

それと私が所属する経営研究会の勉強会で
今年7月に訪れた長野県、伊那食品工業(株)の
寒天。

この二つがこの夏、大活躍した。
すだちはさっぱりとした風味付けにあらゆる料理に重宝し、
寒天は簡単にデザート等ができてありがたい。
さらに同時に使うと、暑い日にぴったりの一品ができる。
その一つが「ジュレ」だ。
寒天をゆるく固め、「だし」と「すだち」で味付けしたジュレにすると、
たいていの冷製料理にあう。
ジュレの作り方は簡単。
広めの鍋(かきまぜやすい)に多めに水をはり
沸騰しない火加減で粉末寒天を入れる。

グラニュー糖を少し足し、ゆっくりかきまぜて溶かす。

火を止め、冷ましておくと固まるので
必要な分だけ別の皿に取り分ける。

和風の冷製料理にあわせる時はこれに
「だし」と「すだち」で味付け。

これで準備完了だ。
今回は「焼きなす」に合わせた一品をご紹介しよう。
焼きなすは
なすをグリルで焼くだけだ。
こんがり焼けたら

熱いうちに皮をむく

これを食べやすい大きさに切って完了。
あとは先ほどのジュレを合わせる。

焼きなす、しょうが、わけぎを先に盛り、
ジュレをトッピング。
器ごと冷蔵庫で冷やすとさらに美味である。

2012年8月16日

新しき土


今月の新聞に、
「世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画に
小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)が選ばれた」
という記事があった。

小津安二郎監督作品は私も好きで、
中でも『東京物語』は数回観ている。
この作品で、
「上品で健気な」イメージを決定づけた伝説的女優が、
原節子だ。
彼女のデビュー間もない(当時16歳)の主演映画、
『新しき土』(1937年)が
75年ぶりに全国でリバイバル上映されているという。

パンフレットを見ると、
この映画は、日本とドイツの合作映画で、
日本側の監督は伊丹万作(伊丹十三の父)、
ドイツ側は巨匠、アーノルド・ファンク。
また、
ヒロイン原節子の父に国際スター、早川雪州
スタッフに
日本初の特撮技術で若き日の円谷英二
音楽は山田耕作
挿入歌の作詞に北原白秋と西條八十
日本を代表するスタッフが集結して作られている。
この夏京都でも上映していることを知り、
興味を持ち観に行った。
主役、原節子の、物悲しい
寂しさを感じさせるまなざしが印象的だった。
だが、率直な感想としては
作品の内容よりも、
当時の日本とドイツの軍事的接近による製作意図を
色濃く感じた。
日本人と日本国の紹介映画というべきか。
ドイツ人のためと思われる日本の美しい風景のオンパレードだった。
実際、後で調べてみると、
ヒトラー自ら検閲してこの映画のドイツ公開を許可したという。
生々しい戦前の時代背景がおのずと伝わってくる映画だ。
二度と繰り返してはならない時代がつくりあげられていく
というやるせなさを、この映画を通して感じた。
奇しくも昨日は、67回目の「終戦の日」。
この映画が今、公開されている意味を
深くとらえていきたい。

2012年8月10日

京都のシンボル


昨夕、所用があってJR京都駅へ行った。
夏休み中ということもあり、
駅周辺は観光客や旅行者でにぎわっていたのだが、
多くの人が、一斉に同じ方向にカメラを向けている。
ふり返って見ると、
夕映えに美しくそびえ立っている京都タワーがそこにあった。
時刻は午後7時。
立秋を過ぎたとはいえ、まだ日が長い。
昨日は晴天だったため
日の入り直後の青空が美しく、タワーが幻想的にうきたってみえた。
美しい風景に遭遇し、私も思わずシャッターをきった。
京都は寺社仏閣が多いせいか、
京都タワーは「ろうそく」をモチーフにしていると
思っている人が少なくないらしい。
だが、京都タワーのモチーフは
街を照らす「灯台」だそうだ。
海のない京都の中心部にそびえる灯台。
京都では賛否両論あるタワーだが、
新幹線で京都に戻ってくる時、
車窓から見えるその「灯台」は
確かに京都人の心に安堵の明かりを照らす。
2時間後、同じ場所

暗闇にそびえる「灯台」が現われていた。

2012年8月4日

美味探究 part16 -ホットドック編-


毎年夏に開催している弊社の「大工とつくろう木工教室」
好評をいただき今年で9年目になる。
例年、長時間製作に励まれる参加者に
手作りのホットドックを食べてもらっている。
シンプルなものだが、それなりのこだわりでつくる。
ホットドックの主役、ソーセージは
以前も紹介したことがあるが、かわきた屋さんと決めている。
子供にも食べやすいレーゲンスだ。

そして今年新たな試みとして、カレー粉でアクセントをつけることにした。
というのも、味付けに良い調味料を見つけたのだ。
有機カレー粉だ。

原料のスパイスが全て有機100%。
安心して提供できる。
好みで添えるケチャップとからしも当然こだわる。

有機栽培トマトのケチャップ(無着色)と、
化学調味料・保存料不使用のマスタード。
そして味を付けるキャベツ(グリーンボール)ももちろん無農薬野菜だ。

明日の木工教室のため今日のうちに炒めておく。
新鮮なキャベツをざっくり切り、

よく炒めて有機カレー粉で味付けする。

レーゲンスも焼き色をつけて、専用パンに挟んで完成。

試作品を味見。
くせのないレーゲンスをカレーの風味がひきたて
バランスの良い味になったように思う。
これで準備OK。

2012年7月29日

自然観察会-2012年夏-


弊社のお施主様が以前より
自然観察ガイド(インタープリター)として活躍しておられ、
京都府立植物園でも定期的に自然観察会を催しておられる。
今回、夏の自然観察会に参加させていただいた。
連日の猛暑で、休日賑わうはずの大広場には
さすがに人っ子一人いない。

だが元々植物園は原生林をそのまま生かして設立された施設だ。

巨木が茂る園内は周囲より気温が1〜2℃低く、
意外な避暑地でもある。
今回の自然観察会にも猛暑日にもかかわらず
リピーターを含む大勢の植物ファンの方々が学びに来られた。

私も今回参加して夏の美しい花々を鑑賞することができた。
まず夏の代表花、ムクゲが全盛期だった。
色とりどりで美しい。



↑この白地に赤、まるで日の丸を思わせる清楚な花は
ご存知の方も多いだろうが、
千利休の孫、千宗旦が好んだといわれる「宗旦ムクゲ」だ。

夏の茶花に欠かせない花である。
また今回初めて知ったのだが、
ムクゲは散る時の花の形がきれいなのだそうだ。
落ちている花を見ると
なるほど、きれいにたたまれていた。

この律儀な花は韓国の国花でもあるそうだ。
また、ハスの花も
見た目に涼しく美しかった。


夏の定番、朝顔も
見事な「作品」が多数展示されていた。

そして夏の花々の中に、
早くも秋の七草がすでに花をつけていた。
はぎ

おみなえし

なでしこ

時には自然に目を向けると
心が落ち着き豊かな気持ちになれるような気がする。
身近なところに自然を見ることができる
京都という街をありがたく感じる。

2012年7月18日

三島由紀夫と若者たち


今年のカンヌ映画祭で高い評価を得た若松孝二監督の映画、
『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』。
京都でも上映していることを知り、
先日見に行ってきた。
三島由紀夫といえば正直なところ、
代表作『金閣寺』を生みだした作家であるということと、
自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した人ということくらいしか印象になかった。
彼がかなりの知識人で思想家であったことは察しがつくのだが、
その当時の時代背景や割腹事件の真相を
真正面から理解しようとすることはこれまでなかった。
そんな私に対して
この映画はとても丁寧に説明をしてくれ、
また同時に深く考えさせられた。
この映画で、
三島由紀夫と、彼と近しい若者たちの、
国を想う純粋な気持ちが鮮明に、
そして緊張感をもって描き出されている。
自らが信じるものへと進む当時の若者たちに
邪念や私欲は感じられない。
そしてこの国のために起こした自己犠牲という悲しい結末にたどりつく。
少し前にNHKで司馬遼太郎原作『坂の上の雲』が放映されたが、
その時代背景の丁寧な描写と激動の時代の若者たちの生きざまにも感動したが、
今回の映画でも、時代は異なるが
改めて先人の苦悩や潔い生きざまの上に、
今日の日本が成り立っていることをしみじみと思う。
当時の三島由紀夫と若者たちが
現代の我々に提示していることは何なのか。何を感じ取るべきなのか。
今年76歳になられるという若松孝二監督が
我々に投げかけている問いであるような気がした。
今回の映画で三島由紀夫を演じたのは
今年のNHK大河ドラマ「平清盛」で
悲劇の天皇、崇徳天皇(上皇)を好演していた
井浦新氏だ。
彼は彼独自の三島由紀夫の世界観を表現していたと思う。
久しぶりにしっかりとした作品を見ることができた。

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