心と建築
以前、建築雑誌で「心と建築」についての記事を連載された
愛知産業大学の建築学科教授、武田雄二先生が
このほどその著書全6回分を送ってくださった。
武田先生は
人間の生理・心理と建築物との関係について研究しておられ、
とくに建築仕上げ材料の触感と人間の生理・心理の関係を
詳しく研究しておられる。
建築材料学、建築環境計画学の専門家だ。
先生とは数年前にある祝賀会で同席して以来の
お付き合いであるが
このように気にかけていただいて有難い。
我々も天然木がもたらす触感「木のぬくもり」を大事にしている。
建築空間が人間に心理的な影響を及ぼすということは
誰もが少なからず経験し納得するところだろう。
武田先生の「触感」に関する考察に
「温冷感」「粗滑感」「硬軟感」「好悪感」「その他」という分類がある。
そのそれぞれを、
弊社が追究する「住まいの感覚」に当てはめると以下のようになる。
「温冷感」については、冬は暖かく夏はさらっとして、
「粗滑感」は、少しざらざらと、
「硬軟感」は、柔らか味があり、
「好悪感」については、ここちよい肌ざわりを求める。
「その他」で表わす触感は、
ついつい寝ころびたくなるような感覚を弊社は求めている。
このことをまとめられたのは
先生からいただいた文献のおかげである。
人間は五感をはじめとする「心」で空間の特性を捉えてきたが、
超情報化社会である現代、
視覚情報が偏重されすぎているように思う。
心がモノをつくり、
つくられたモノによって心がつくられる。
建築物をつくる者として
社会の流れによって大切なことが見失われることがないよう
先生が述べられている、
常に自分自身の「心の在りよう」を見つめ、
正しいと感じる方向に住まいづくりを導いていく習慣をつけたい。
武田先生の哲学的な考察は新鮮で大変勉強になりました。
ありがとうございます。