2011年11月13日
音楽を味わうNo.2 -1961.11.13-
50年前の11月13日、
ホワイトハウスの舞踏室で、あるコンサートがひらかれた。
第34代 ケネディ大統領の招聘による、チェロコンサート。
奏者は世界的チェリスト、パブロ・カザルスだ。
この時、御歳85才。
最前列中央に、大統領の姿がみえる。
実はこの写真は、私が特別な思いで持っているCDの
ジャケットに使われている写真だ。
(ソニー・クラシカル ベストクラシック100-No.19)
当時のホワイトハウスコンサートがそのままライブ録音された貴重な音源。
カザルスの素晴らしい演奏はもちろん、演奏中の迫力ある生々しい息づかい、
そしてケネディ大統領を含めた会場全体の反応や気配、空気感が
はっきりと伝わってくる。
およそ1時間のコンサートだが、
プログラム最後は、カザルス最愛の曲、
彼の故郷カタロニア地方の民謡『鳥の歌』でしめくくられている。
この曲には、平和への強い願いがこめられているという。
当時の政治的背景を考えると、
故郷を去らざるを得なかったカザルスが、
チェロの深くうなるような音色でまるで歌うように演奏している。
現実に対するどうしようもない憤りを、静かに伝えているように思う。
彼の切実な思いが、時空を超えてなお、聴く人の胸を打つ。
さて、何故私がこのCDを特別な思いで持っているか。
それは、このコンサートが録音された日、つまり
1961年11月13日が私の誕生日なのだ。
場所は違えども、自分がこの世に誕生した日の空気感を、
歴史的コンサートを通していつでも味わえることは、
大変ありがたいことだと思う。
私が持つクラシックコレクションの中でも、特別な一枚だ。