日本の風土に根ざしたものづくり
以前このブログで
京都の南西、山崎にある住宅「聴竹居」について紹介させていただいたが、
先日、天皇皇后両陛下がこの住宅をご訪問されたことで
聴竹居のような日本の風土に根ざしたものづくりについて
また新たに見つめなおす機会をもった人が増えたかもしれない。
この聴竹居のすぐ近くにあるのがサントリー山崎蒸留所。
先日ここへ初めて見学に訪れた。
「日本の風土にあった、日本人に愛されるウィスキーをつくろう」
サントリーの創業者である鳥井信治郎氏が
輸入品ではなく国産にこだわって、日本で初めて開設した蒸留所である。
日本の風土に根ざしたものづくりにかける思いは
聴竹居という住宅にかけた藤井厚二先生の思いにも通じるところがあるだろう。
今や世界に誇るウィスキーブランド「山崎」だが、
その歴史や製造工程をつぶさに見学すると
京都の名水が育んできた文化というものに改めて気づかされる。
ウィスキーの原料となるのは二条大麦。
名水と合わさり発酵した液は2回の蒸留が行われる。
巨大な蒸留釜(ポットスチル)は、よく見るとそれぞれ微妙に形が違う。
この形の違いで多彩な個性の原酒がつくられるのだそうだ。
山崎の湿潤な風土に横たわるホワイトオークの樽の中で
原酒が琥珀色のウィスキーへと変わっていく。
驚いたことに、貯蔵庫内の温度は一切調節していないそうだ。
まさに日本の風土にあった、日本人に愛されるウィスキーづくりである。
貯蔵庫を出るとすぐのところに清流がながれていた。
山崎の気候と水が、
ここだけのシングルモルトウィスキーをつくっている。
左:山崎18年