2014年3月25日

心と建築


以前、建築雑誌で「心と建築」についての記事を連載された
愛知産業大学の建築学科教授、武田雄二先生が
このほどその著書全6回分を送ってくださった。
武田先生は
人間の生理・心理と建築物との関係について研究しておられ、
とくに建築仕上げ材料の触感と人間の生理・心理の関係を
詳しく研究しておられる。
建築材料学、建築環境計画学の専門家だ。
先生とは数年前にある祝賀会で同席して以来の
お付き合いであるが
このように気にかけていただいて有難い。
我々も天然木がもたらす触感「木のぬくもり」を大事にしている。
建築空間が人間に心理的な影響を及ぼすということは
誰もが少なからず経験し納得するところだろう。
武田先生の「触感」に関する考察に
「温冷感」「粗滑感」「硬軟感」「好悪感」「その他」という分類がある。
そのそれぞれを、
弊社が追究する「住まいの感覚」に当てはめると以下のようになる。
「温冷感」については、冬は暖かく夏はさらっとして、
「粗滑感」は、少しざらざらと、
「硬軟感」は、柔らか味があり、
「好悪感」については、ここちよい肌ざわりを求める。
「その他」で表わす触感は、
ついつい寝ころびたくなるような感覚を弊社は求めている。
このことをまとめられたのは
先生からいただいた文献のおかげである。
人間は五感をはじめとする「心」で空間の特性を捉えてきたが、
超情報化社会である現代、
視覚情報が偏重されすぎているように思う。
心がモノをつくり、
つくられたモノによって心がつくられる。
建築物をつくる者として
社会の流れによって大切なことが見失われることがないよう
先生が述べられている、
常に自分自身の「心の在りよう」を見つめ、
正しいと感じる方向に住まいづくりを導いていく習慣をつけたい。
武田先生の哲学的な考察は新鮮で大変勉強になりました。
ありがとうございます。

2014年3月7日

左近の梅


あちらこちらで梅が見ごろを迎えている。
京都市内には梅の名所がいつくかあるが、
現在工事が進行中の嵯峨大覚寺の新築住宅のすぐ近くにも隠れた名所がある。
真言宗大覚寺派の大本山、大覚寺。
元は嵯峨天皇の離宮で、歴代の天皇(上皇)による院政が行われたこともある
皇室ゆかりの寺院である。

宸殿からの眺め

御座所の前には
右近の橘

そして、左近の梅

「桜」ではなく「梅」である。
通常、京都御所の紫宸殿前に見られるように
左近といえば「桜」が知られており
雛飾りでもそれにならって「橘」と「桜」を飾っている。

日本を代表する花として圧倒的人気を誇る桜。
現在「梅」も「桜」もうまい具合に時期をずらして
それぞれの美しさで人々を魅了しているが
元々日本では「桜」よりも「梅」が愛でられていたという
その歴史を現代に伝えているのがこの大覚寺である。
ちなみにここ大覚寺は映画『武士の献立』のロケ地になっており
見覚えのある風景(昨年の梅)は一瞬ではあるが映画予告編にも登場している。

2014年2月16日

利休にたずねよ


歴史時代小説『利休にたずねよ』の原作者で知られる
山本兼一さんの突然の訃報に驚いたのは先週末のことだ。
57歳の若さである。
山本さんは京都生まれ京都育ち。
私の高校の先輩でもある。ご自宅も弊社からほど近い。
山本兼一さんの代表作
『白鷹伝』
『火天の城』(松本清張賞)
『利休にたずねよ』(直木賞)
三作とも読ませていただいた。
丹念な取材により登場人物をいきいきと浮き上がらせ、
小気味いい場面展開、丁寧な話の進め方で
どれも惹きつけられる作品だった。
鷹匠や大工の棟梁など、
職人の情熱を丁寧に描いたこれらの作品は高く評価され
映画化もされている。
本日執り行われた告別式では
映画『火天の城』『利休にたずねよ』の監督
田中光敏さんが哀悼の意を述べられていた。
山本さんは数年前から病に犯されていたが
現在上映中の映画『利休にたずねよ』で
「最優秀芸術貢献賞」を受賞した昨年のモントリオール世界映画祭へは
ご家族全員で行くことができたそうだ。
まだ読んでいない山本さんの作品を
今後、一つ一つ読んでいきたいと思っている。
山本兼一さんは本の中でこれからもずっと生きている。

(告別式会場に飾られていたお写真より)

2014年1月28日

My music collection no.8


五嶋みどり(vn)
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番
マリス・ヤンソンス&ベルリン・フィル
世界的ヴァイオリニスト、五嶋みどりさんのCD。
日本の、というより世界の「MIDORI」、
透明感のある神々しいような美しい音色は聴く人を魅了する。
昨日、ロサンゼルスで発表された第56回グラミー賞で
五嶋みどりさんがソリストとして参加したアルバムが
最優秀クラシック・コンペンディアム賞を受賞したという嬉しいニュースが流れた。
同賞は昨年創設されたものなのだそうだ。
この受賞アルバム『パウル・ヒンデミット作品集』を私はまだ聞いたことはないのだが、
発表後は注文が殺到しているという。

こちらは
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
クラウディオ・アバド&ベルリン・フィル
残念ながら、指揮者アバドさんの訃報をつい先日聞いたばかりだ。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は私が最も好きなコンチェルトである。
そのコンチェルトを彼女が凛として艶やかに奏でている。
もう一枚、
五嶋みどり17歳の時のCD(パガニーニ: 24のカプリース)

そして隣は弟、五嶋龍の2005年のデビューCD(同じく17歳)
この二人の天才を育てた母、五嶋節さんもヴァイオリニストである。
彼女は女手一つでこの二人を育てあげた。
神童といわれた二人がいかに育てられたのか
壮絶な母と子の物語がこの本に記されている。

日本が誇るヴァイオリニスト五嶋みどりさん。
ソリストとしての今後の活躍を見守っていきたい。
個人的にはもっと日本のメディアに出てほしいと思っているのだが。

2014年1月14日

蔵出し


遅くなりましたが新年のご挨拶を申し上げます。
本年も何卒よろしくお願いいたします。
さて、昨年の夏に仕込み
仕上がりを心待ちにしていた我が家の自家製梅酒が
元旦に晴れて「蔵出し」となった。
漬けてから半年、
すっきりした味わいで十分美味しい。
これからさらに深まる味をじっくり楽しむのも
自家製の醍醐味である。
漬かっていた梅も祝膳のつきだしの一品としていただいた。

今年も自分なりに厳選した食材で、お節料理はすべて手作りした。
その料理を家族と囲み新年を迎えることで
改めて土地の恵みに感謝する気持ちも生まれる。
ところで我が家でもう一つ恒例となっている
祝箸の「箸袋」をご紹介したい。

近くに住む私の母が、得意の「折り紙」で
毎年家族の分を一つ一つ手作りし、年末に用意してくれている。
しかも毎年オリジナルのデザインなのでおもしろい。
2013年(巳年の蛇)

2012年(梅)

2011年(卯年のうさぎ)

「手作り」から伝わる温かさ。
新年は毎年感謝の気持ちで始まるのである。
さて、一月もすでに中旬。
会社の新年会も終わり、
今週末は完成見学会、住宅見学バスツアーと続く。
みんなで力を合わせ、良い年にしていきたい。

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