2012年8月26日

浄瑠璃寺


夏休み中、京都市内の寺社仏閣は観光客でにぎわう。
だが、少し足をのばし京都市郊外へ行くと
価値ある名所でも閑散としてゆっくり見学できる。
休み中、市内から抜け木津川市の加茂町、
浄瑠璃寺に行ってきた。
九体阿弥陀如来像(国宝)で有名な真言律宗の寺だ。

(この写真は「拝観のしおり」より抜粋)
のどかな風景がひろがる場所にあり、
寺も、秋の草花「萩」が似合うわびたたたずまいだ。

文字通り、都会の喧騒を忘れる空間だった。
「浄瑠璃」世界とは、
澄みきった清寂と清浄の理想の世界。
中に入ると池がひろがり、
その向こうに三重塔(国宝)が見える。

今夏立て続けにおきた集中豪雨のためか
土のうが積んであるのが少々痛々しい。
池をはさんで対面に鎮座する九体阿弥陀堂(御堂も国宝)

拝観者はほとんどおらず、ほぼ貸切状態。
九体の阿弥陀如来ともじっくり対面できた。
こののどかさがいい。

御堂を出ると
緑に浮き出た朱色の塔が陽の光に輝いており、

旅先に持ち歩いているスケッチブックに
思わず描きとめた。

今年の夏の思い出がまた一つ増えた。

2012年8月19日

美味探究 part17 -涼感 編-


今年の夏たくさんいただいた
徳島のすだち。

それと私が所属する経営研究会の勉強会で
今年7月に訪れた長野県、伊那食品工業(株)の
寒天。

この二つがこの夏、大活躍した。
すだちはさっぱりとした風味付けにあらゆる料理に重宝し、
寒天は簡単にデザート等ができてありがたい。
さらに同時に使うと、暑い日にぴったりの一品ができる。
その一つが「ジュレ」だ。
寒天をゆるく固め、「だし」と「すだち」で味付けしたジュレにすると、
たいていの冷製料理にあう。
ジュレの作り方は簡単。
広めの鍋(かきまぜやすい)に多めに水をはり
沸騰しない火加減で粉末寒天を入れる。

グラニュー糖を少し足し、ゆっくりかきまぜて溶かす。

火を止め、冷ましておくと固まるので
必要な分だけ別の皿に取り分ける。

和風の冷製料理にあわせる時はこれに
「だし」と「すだち」で味付け。

これで準備完了だ。
今回は「焼きなす」に合わせた一品をご紹介しよう。
焼きなすは
なすをグリルで焼くだけだ。
こんがり焼けたら

熱いうちに皮をむく

これを食べやすい大きさに切って完了。
あとは先ほどのジュレを合わせる。

焼きなす、しょうが、わけぎを先に盛り、
ジュレをトッピング。
器ごと冷蔵庫で冷やすとさらに美味である。

2012年8月16日

新しき土


今月の新聞に、
「世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画に
小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)が選ばれた」
という記事があった。

小津安二郎監督作品は私も好きで、
中でも『東京物語』は数回観ている。
この作品で、
「上品で健気な」イメージを決定づけた伝説的女優が、
原節子だ。
彼女のデビュー間もない(当時16歳)の主演映画、
『新しき土』(1937年)が
75年ぶりに全国でリバイバル上映されているという。

パンフレットを見ると、
この映画は、日本とドイツの合作映画で、
日本側の監督は伊丹万作(伊丹十三の父)、
ドイツ側は巨匠、アーノルド・ファンク。
また、
ヒロイン原節子の父に国際スター、早川雪州
スタッフに
日本初の特撮技術で若き日の円谷英二
音楽は山田耕作
挿入歌の作詞に北原白秋と西條八十
日本を代表するスタッフが集結して作られている。
この夏京都でも上映していることを知り、
興味を持ち観に行った。
主役、原節子の、物悲しい
寂しさを感じさせるまなざしが印象的だった。
だが、率直な感想としては
作品の内容よりも、
当時の日本とドイツの軍事的接近による製作意図を
色濃く感じた。
日本人と日本国の紹介映画というべきか。
ドイツ人のためと思われる日本の美しい風景のオンパレードだった。
実際、後で調べてみると、
ヒトラー自ら検閲してこの映画のドイツ公開を許可したという。
生々しい戦前の時代背景がおのずと伝わってくる映画だ。
二度と繰り返してはならない時代がつくりあげられていく
というやるせなさを、この映画を通して感じた。
奇しくも昨日は、67回目の「終戦の日」。
この映画が今、公開されている意味を
深くとらえていきたい。

2012年8月10日

京都のシンボル


昨夕、所用があってJR京都駅へ行った。
夏休み中ということもあり、
駅周辺は観光客や旅行者でにぎわっていたのだが、
多くの人が、一斉に同じ方向にカメラを向けている。
ふり返って見ると、
夕映えに美しくそびえ立っている京都タワーがそこにあった。
時刻は午後7時。
立秋を過ぎたとはいえ、まだ日が長い。
昨日は晴天だったため
日の入り直後の青空が美しく、タワーが幻想的にうきたってみえた。
美しい風景に遭遇し、私も思わずシャッターをきった。
京都は寺社仏閣が多いせいか、
京都タワーは「ろうそく」をモチーフにしていると
思っている人が少なくないらしい。
だが、京都タワーのモチーフは
街を照らす「灯台」だそうだ。
海のない京都の中心部にそびえる灯台。
京都では賛否両論あるタワーだが、
新幹線で京都に戻ってくる時、
車窓から見えるその「灯台」は
確かに京都人の心に安堵の明かりを照らす。
2時間後、同じ場所

暗闇にそびえる「灯台」が現われていた。

2012年8月4日

美味探究 part16 -ホットドック編-


毎年夏に開催している弊社の「大工とつくろう木工教室」
好評をいただき今年で9年目になる。
例年、長時間製作に励まれる参加者に
手作りのホットドックを食べてもらっている。
シンプルなものだが、それなりのこだわりでつくる。
ホットドックの主役、ソーセージは
以前も紹介したことがあるが、かわきた屋さんと決めている。
子供にも食べやすいレーゲンスだ。

そして今年新たな試みとして、カレー粉でアクセントをつけることにした。
というのも、味付けに良い調味料を見つけたのだ。
有機カレー粉だ。

原料のスパイスが全て有機100%。
安心して提供できる。
好みで添えるケチャップとからしも当然こだわる。

有機栽培トマトのケチャップ(無着色)と、
化学調味料・保存料不使用のマスタード。
そして味を付けるキャベツ(グリーンボール)ももちろん無農薬野菜だ。

明日の木工教室のため今日のうちに炒めておく。
新鮮なキャベツをざっくり切り、

よく炒めて有機カレー粉で味付けする。

レーゲンスも焼き色をつけて、専用パンに挟んで完成。

試作品を味見。
くせのないレーゲンスをカレーの風味がひきたて
バランスの良い味になったように思う。
これで準備OK。

2012年7月29日

自然観察会-2012年夏-


弊社のお施主様が以前より
自然観察ガイド(インタープリター)として活躍しておられ、
京都府立植物園でも定期的に自然観察会を催しておられる。
今回、夏の自然観察会に参加させていただいた。
連日の猛暑で、休日賑わうはずの大広場には
さすがに人っ子一人いない。

だが元々植物園は原生林をそのまま生かして設立された施設だ。

巨木が茂る園内は周囲より気温が1〜2℃低く、
意外な避暑地でもある。
今回の自然観察会にも猛暑日にもかかわらず
リピーターを含む大勢の植物ファンの方々が学びに来られた。

私も今回参加して夏の美しい花々を鑑賞することができた。
まず夏の代表花、ムクゲが全盛期だった。
色とりどりで美しい。



↑この白地に赤、まるで日の丸を思わせる清楚な花は
ご存知の方も多いだろうが、
千利休の孫、千宗旦が好んだといわれる「宗旦ムクゲ」だ。

夏の茶花に欠かせない花である。
また今回初めて知ったのだが、
ムクゲは散る時の花の形がきれいなのだそうだ。
落ちている花を見ると
なるほど、きれいにたたまれていた。

この律儀な花は韓国の国花でもあるそうだ。
また、ハスの花も
見た目に涼しく美しかった。


夏の定番、朝顔も
見事な「作品」が多数展示されていた。

そして夏の花々の中に、
早くも秋の七草がすでに花をつけていた。
はぎ

おみなえし

なでしこ

時には自然に目を向けると
心が落ち着き豊かな気持ちになれるような気がする。
身近なところに自然を見ることができる
京都という街をありがたく感じる。

2012年7月18日

三島由紀夫と若者たち


今年のカンヌ映画祭で高い評価を得た若松孝二監督の映画、
『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』。
京都でも上映していることを知り、
先日見に行ってきた。
三島由紀夫といえば正直なところ、
代表作『金閣寺』を生みだした作家であるということと、
自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決した人ということくらいしか印象になかった。
彼がかなりの知識人で思想家であったことは察しがつくのだが、
その当時の時代背景や割腹事件の真相を
真正面から理解しようとすることはこれまでなかった。
そんな私に対して
この映画はとても丁寧に説明をしてくれ、
また同時に深く考えさせられた。
この映画で、
三島由紀夫と、彼と近しい若者たちの、
国を想う純粋な気持ちが鮮明に、
そして緊張感をもって描き出されている。
自らが信じるものへと進む当時の若者たちに
邪念や私欲は感じられない。
そしてこの国のために起こした自己犠牲という悲しい結末にたどりつく。
少し前にNHKで司馬遼太郎原作『坂の上の雲』が放映されたが、
その時代背景の丁寧な描写と激動の時代の若者たちの生きざまにも感動したが、
今回の映画でも、時代は異なるが
改めて先人の苦悩や潔い生きざまの上に、
今日の日本が成り立っていることをしみじみと思う。
当時の三島由紀夫と若者たちが
現代の我々に提示していることは何なのか。何を感じ取るべきなのか。
今年76歳になられるという若松孝二監督が
我々に投げかけている問いであるような気がした。
今回の映画で三島由紀夫を演じたのは
今年のNHK大河ドラマ「平清盛」で
悲劇の天皇、崇徳天皇(上皇)を好演していた
井浦新氏だ。
彼は彼独自の三島由紀夫の世界観を表現していたと思う。
久しぶりにしっかりとした作品を見ることができた。

2012年7月15日

京都の夏、本番


京都の夏の風物詩であり、日本三大祭の一つとされる祇園祭が
クライマックスを迎えている。

もともと疫病退散の祈願が始まりとされている夏の行事だ。
京都では17日の山鉾巡行が終わると梅雨が終わり、
いよいよ本格的な夏を迎えるという共通認識があるが、
実際毎年の気候でそのように感じている。
また、梅雨末期のこの時期に大雨に見舞われることが多いのも事実である。
そして来月の五山送り火が終わると、急に「秋」の気配を感じる。
海からも遠く、三方を山に囲まれた地形の京都は
夏吹く風が弱く、他の地域よりも暑さが厳しい。
これからしばらくは京都の蒸し暑い夏が続く。
さらに今年は節電が求められる夏でもある。
快適に乗り切れるように我々は「住まい」でサポートしていきたい。

2012年7月1日

美味探究 part15 -若狭焼き編-


新鮮なぐじ(甘鯛)を仕入れてきた。
京都では高級魚とされいる「若狭ぐじ」。
このきめ細かな美しいウロコが特徴だ。

身がとても柔らかく繊細なため、塩をうってしばらくおき、
ウロコを残したまま焼く。
このウロコは美味しさの決め手となる。
ウロコを焦がさずに、
なおかつ立たせずに綺麗に焼き上げるのは一般的には難しいが、
電気のグリルを使うと比較的簡単にできる。


「中火→弱火→とろ火」の順番で焼き上げる。

ウロコがカリッとサクッとして身はホクホク。
ウロコの香ばしさと、白身の深い味わいが楽しめた。

2012年6月22日

聴竹居


昨年になるが、
テレビ朝日系列の人気長寿番組『建もの探訪』でお馴染みの
俳優 渡辺篤史氏に、ある会合のゲストスピーカーとして
講演していただいたことがある。
数々の住宅を訪問している渡辺氏が講演の中で、
「関西にある『聴竹居』という住宅には本当に感動した」と
絶賛されていた。
実はそれよりさかのぼること3年前(2008年)、
日経新聞の日曜版「昭和の住宅建築」特集で、
『聴竹居』が大きくクローズアップされており、
興味深かった私はその記事を切り抜いてスクラップしていた。

当時は一般公開がまだ限定的で、見学の機会をのがしていたが、
環境共生住宅の原点というその内容に魅かれ、
その後『聴竹居実測図集』を購入し、興味深く読み込んだ。


最近は重要文化財の指定を目指す有志の方たちのお力で、
申込制とはいえ見学しやすくなっている。
そこで本日、石田工務店社員研修の一環として
社員全員で内部見学をさせていただいた。

京都市郊外、天王山のふもと大山崎町にある『聴竹居』 外観
住宅はその土地の気候や風土から生まれるものだという
明快な哲学を貫き、
合理性とデザイン性を徹底的に追究した住宅。
昭和初期に活躍した建築家、藤井厚二氏が
今から80年以上前に建て実際に家族と暮らしていた自邸だ。
藤井氏は、東京帝大卒業後、竹中工務店勤務を経て
京都帝国大教授に転じている。
経済的に恵まれ、何ごとにも「凝り性」の人だったという。
住み込みで雇っていた大工と、細部にいたるまで
デザインと暮らしやすさを追究した細かい仕事ぶりが見てとれた。
また、建築だけでなく、家具や照明などもデザインしていて、
ライフスタイル全体をデザインするある種「芸術家」としての
妥協のなさも伝わってきた。見ごたえのある住宅だ。
藤井氏の建築家としての作品が、
実は京都市内にも複数件現存していることを知り、
以前順番に訪れてみたことがある。

上京区染殿町の家

左京区吉田神楽岡町の家

左京区北白川伊織町の家
窓まわりの繊細なデザインが特徴的であり、
木々の緑と調和していた。
彼はガンのため49才という若さで亡くなり、
現在、京都嵯峨野の二尊院に眠っている。
その墓標さえも彼自身が病床でデザインしたのだという。
この「美」を追究する気持ちをつらぬいた
藤井厚二氏の思いが今も京都に生き続けている。

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